子供が怪我をさせた時に賠償保険で補償する保険として個人賠償責任があります。
ここではそんな個人賠償責任保険の詳しい事をお話しします。
自分の子供が仲の良い友達に遊んでいて怪我をさせてしまったら・・・。
こんな不安や悩みって子供をお持ちの親なら誰もが持っているはずです。
毎日の生活の中でしっかりとしつけや教育をしているから大丈夫と思っていても、そこはやはり小さなお子さんです。
どんなに普段から子供に気をつけるようにと言い聞かせておいてもついつい熱中して遊んでいたあまり、他の友達に怪我をさせてしまうという事は回避しきれるものではありません。
最悪、相手に大怪我を負わせてしまうと多額の治療費や慰謝料を賠償金として支払わなければならないという事態にもなります。
そんな時に備える保険が個人賠償責任保険です。
個人賠償責任保険の概要、そして子供が事故を起こしてしまった場合における注意点など知っておいて頂きたい項目をまとめましたので是非、参考にして下さい。
子供が怪我をさせた時に役立つ個人賠償責任保険とは?その概要と補償範囲
個人賠償責任保険とは、個人が日常の生活の中で第三者に対して身体的、物的な損害を与え、法律上の賠償を負担する事により被保険者(個人賠償責任保険の対象になる人)が被る損害を補償するという保険です。
誰か他人に怪我をさせてしまったり、他人の物を壊してしまった場合には、その治療費や修理代などを弁償する事を民法では義務付けています。
ですから他人に迷惑をかけてしまった人は相手方に治療費や修理代を賠償金として支払わなければなりません。
その賠償金とは加害者にとっては言ってみたら損害と言える訳ですが、保険会社は基本的に怪我をした人や物を壊された被害者に直接保険金を支払うのではなく、個人賠償責任保険に加入していた被保険者に対して相手に弁償したその損害を補填するために保険金として支払う事としています。
個人賠償責任保険の補償範囲は実に幅が広いものです。
基本的に毎日の個人的な生活の中で意識せず相手に怪我を負わせたり物を壊したりした場合に補償の対象になります。
逆に保険が対象とならない場合として、わざとやったような場合、犯罪行為、業務上に起こった事故などは対象となりません。
また、スポーツの競技中などに相手に怪我を負わせた場合も法律上の賠償義務を負わない事がありますので、その場合も保険の支払い対象にならないという事になります。
子供が友達に怪我をさせた!個人賠償責任保険の被保険者は誰?対象にならない事故は?
個人賠償責任保険は被保険者(保険の対象になる人)が実に幅広い保険です。
その被保険者は①本人、②配偶者、③本人、配偶者のいずれかと同居の親族、④別居の未婚の子となります。
ですから子供の場合、ご両親が個人賠償責任保険に加入していればわざわざ子供が保険契約者となり個別に加入せずとも自動的にこの保険に加入している事になります。
子供が通っている学校で個人賠償責任保険への加入を勧められる事がありますが、加入する前にご両親の加入状況などをきちんと確認すると良いでしょう。
個人賠償責任保険では先ほど、わざとやった場合には保険の対象にならないとお話ししました。
けれど子供の場合、友達と遊んでいてわざと突き飛ばして怪我を負わせるというようなケースは珍しくありません。
そういった場合は個人賠償責任では対象外となってしまうのでしょうか。
実際にはケースバイケースという事もありますが、小・中学生という分別がまだ十分ではない年齢の場合にはケンカやわざと怪我をさせた場合でも個人賠償責任保険の対象と判断される事が一般的です。
ただし、この場合の法律上の賠償を負担すべき人は監督責任がある保護者、つまりご両親となり保険金請求者も必然的にご両親となります。
一方で、犯罪行為は子供の場合でも個人賠償責任保険では免責となりますので、その点は注意が必要です。
また、ケンカをしたらどうなるか、わざと相手を突き飛ばしたらどうなるか、判断能力が一般的にあると思われる高校生や大学生以上の場合には個人賠償責任保険はケースにより対象とならない事もあります。
子供が怪我をさせた時に対象となる賠償保険は子供の言葉によるイジメは?慰謝料だけは払われない?
個人賠償責任保険の対象となる事故は相手に怪我を負わせたり、相手の物を壊してしまったという場合です。
怪我を負わせた場合に支払われる保険金は治療にかかった費用、交通費、休業損害、慰謝料という事になります。
最近ではメディアの影響もあり、子供同士のトラブルにおいても請求される慰謝料や費用は実にいろいろなケースが多くなって来ました。
例えば、学校で言葉のイジメを受けたので慰謝料を請求する、転校を余儀なくされたのでその費用を請求するというようなケースです。
しかしながら個人賠償責任保険は先ほどもお話ししましたとおり、相手に怪我を負わせたり、相手の物を壊してしまった場合に保険金が支払われるものです。
このケースにおいては相手に人的、物的損害を与えていませんので個人賠償責任保険は保険金が支払われません。
従い、この点からも個人賠償責任保険とは子供が起こしうるトラブルを全てカバーしている訳ではない事が分かります。
普段からの子供への教育が一番大切だという認識が重要です。
子供のアルバイト中に怪我をさせた場合は賠償保険は使える?
高校生にもなるとアルバイトをされるお子さんもいらっしゃるかと思います。
けれども子供がアルバイト中に起こしてしまった事故は個人賠償責任保険の対象にはなりませんので注意が必要です。
個人賠償責任保険は日常生活で起きた事故が対象であり、業務中に起こした事故は対象にならないのです。
例えば、飲食店でアルバイトをしていて、来店者に誤ってぶつかって怪我をさせてしまった場合は監督責任者は親ではなくお店の店長となり、雇用側がその事故の責任を負担する必要があります。
最近ではアルバイト中に不謹慎な事をしてSNSでその様子を投稿してしまい、雇用主から多大な賠償請求がご両親になされる事があります。
このケースも個人賠償責任保険では保険金の支払い対象にはならないので十分な注意が必要です。
子供が他人に怪我をさせた! 賠償保険に2つ入っているから補償も2倍?それは間違いです
個人賠償責任保険は、私たちの生活、強いては人生を守ってくれるとても有り難い保険です。
この加入している人はとても多いのですが、それゆえに実は知らず知らずのうちにこの保険に複数加入してしまっていたケースも散見されます。
個人賠償責任保険に単体で加入していれば重複しているケースも防げるのでしょうが、この保険に加入している人は特約で付帯しているという事が圧倒的に多く、それゆえ特約自体が付いているのを認識していない事で結果的に個人賠償責任保険に重複して加入してしまっていたという事態が発生してしまいます。
個人賠償責任保険に二つ以上加入していても保険金が二重で払われる事はないので、結果的に保険料は無駄になってしまいます。
個人賠償責任保険は被害者からの損賠賠償請求に基づき保険金が支払われます。
例えば相手からの賠償請求が300万円だったとして、1億円まで払われる個人賠償責任保険に2つ加入していたとしても、その両方から300万円が支払われる事はないのです。
この場合はそれぞれの個人賠償責任保険から按分で保険金が支払われます。
ですから結果的には個人賠償責任保険に1つ加入していた効果と全く変わりません。
個人賠償責任保険は最近では火災保険、自動車保険、傷害保険など実にさまざまな保険に特約で付帯されていますので、新規でそれらの保険に加入する場合、またすでに入っている保険の契約更改の際にはその内容をきちんと確認するなどして、十分に注意を払った方が良いでしょう。
個人賠償責任保険自体、そこにかかる保険料は決して高額ではありませんが、重複が多いとやはり無駄な出費になってしまうものです。
子供が怪我をさせた時に備えて賠償保険は必須!
個人賠償責任保険は子供がいる家庭では必須の保険と言えます。
日常の生活の中で図らずも友達にケガを負わせてしまうというケースは珍しくありません。
実際にそういう事が起きてしまうと、ケガを負わせた両親としてはどう被害者であるお子さんの親御さんと向き合って良いものか、判断に迷う事も多い事でしょう。
最近の個人賠償責任保険は保険契約者、被保険者に代わって保険会社が示談交渉をしてくれるものが主流になってきました。
保険会社が間に入って示談交渉をしてくれるのであれば、安心して任せられるというものです。
もし、相手方が過大な損害賠償請求をして来たとしても、必要に応じて保険会社は弁護士に交渉を委任する事を検討してくれたりもします。
子供とは本当に両親の想像を超えた事をしてしまったりするもの。
そんな時に備えて個人賠償責任保険には是非加入する事をお勧めします。