交通事故の慰謝料で通院日数の少ない骨折の場合はどのように算出するのでしょうか。
車を運転している人は勿論ですが、車を運転しない人でも交通事故に巻き込まれる形で関係者になってしまう事はありえます。
交通事故が起こってしまった時に加害者側、被害者側を問わず重要な問題となるのは慰謝料の事でしょう。
交通事故の慰謝料というのはどの様に決まるのでしょうか、本記事では交通事故の慰謝料の算出のされ方や通院日数が少ない骨折の場合の慰謝料などについて解説します。
交通事故の慰謝料とは
そもそも交通事故における慰謝料とはどの様なものなのでしょうか。
交通事故の慰謝料とは精神的、肉体的苦痛に対する賠償金の事です。
具体的には事故に遭った事による苦痛や恐怖、事故による怪我での入院や通院による束縛、更には自身の怪我により職場などの周囲に影響を与えてしまう事による精神的負担などといった事に対する賠償になります。
慰謝料はあくまで精神的な負担に対する賠償であり、物質的な被害に対する賠償である治療費や修繕費とは異なるものなので、慰謝料は治療費や修繕費とは別に請求する事が出来ます。
原則として交通事故の慰謝料は人身事故の場合にのみ発生するもので、人の被害がない物損事故では発生しません。
慰謝料はどのようにして決まるのか
慰謝料は主に精神的な被害に対する賠償になるのですが、精神的な被害というのは目に見えないものなので数値化するのは困難です。
しかし被害者が一方的に精神的被害を主張して金額を決めることができてしまうと金額が非常識な高額になってしまいかねませんので慰謝料にも基準、相場というものが存在します。
慰謝料を算出する基準には自賠責基準、任意保険基準、裁判基準(弁護士基準)の3つがあります。
自賠責基準は自賠責保険が保険金を算出するときに使う基準で、自賠責保険は最低限の給付を目的とする保険であるため最も金額が低くなります。
任意保険基準は任意保険会社が保険金を算出するために独自に定めている基準で、被害者が自分で示談交渉をした場合はこの基準をもとに慰謝料が算出される事が多いです。
任意保険基準は任意保険会社が各社で非公開で独自に定めている性質上、保険会社によって違いがありますが、おおむね後述する裁判基準の6-7割辺りの額になる事が多いです。
裁判基準(弁護士基準)は裁判の判例をもとに弁護士会によって作成されたもので、実際の裁判でも慰謝料の算出の基準として使われるものです。
裁判基準は賠償額としては他の基準より高額ですが、この基準で賠償額を算出するには弁護士への依頼が必要となるため弁護士費用がかかる事になります。
実際の慰謝料の算出方法
実際の交通事故での負傷に対する慰謝料の金額は負傷の部位や程度、入院、通院の期間などをもとに算出されます。
裁判基準での算出の基準となる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称赤い本)の算出表を見てみましょう。
入通院慰謝料別表Ⅰ(単位万円)
入院 | 1月 | 2月 | 3月 | |
通院 | 53 | 101 | 145 | |
1月 | 28 | 77 | 122 | 162 |
2月 | 52 | 98 | 139 | 177 |
3月 | 73 | 115 | 154 | 188 |
4月 | 90 | 130 | 165 | 196 |
5月 | 105 | 141 | 173 | 204 |
6月 | 116 | 149 | 181 | 211 |
例えば入院が1ヶ月でその後に通院3ヶ月だった場合、入院1月の列と通院3月の行の交わる115万円が慰謝料の基準となります。
表から算出されるのはあくまで基準であり、この基準額から負傷の程度や被害者の不便や苦痛の度合いなどに応じて加算、減算される事となります。
通院日数が少ない骨折の場合の慰謝料
前項の表における通院の月数は治療が終了した日までの期間であって、通院した日数ではありません。
特に骨折の場合は全治までの期間が長くても通院の日数自体は少なくなりがちなため、保険会社によっては通院の日数が少ないことを理由に慰謝料の額を非常に低く提示してくることが度々あります。
実際には全治まで不便が続くにもかかわらず通院の日数だけを基準に慰謝料を決めるのは適正とは言えないため、そのような場合は全治までの期間に応じた適正な額の慰謝料を請求するべきでしょう。
現実問題として法律に詳しくない一般人では保険会社の弁護士と交渉するのは限度があるため、交通事故の骨折で通院日数の少なさを理由に不当に慰謝料を値切られていると感じるようであれば弁護士への相談を検討すべきでしょう。
交通事故の慰謝料|まとめ
ここまで交通事故の慰謝料の算出のされ方や、骨折の場合の慰謝料などについて解説してきました。
慰謝料の算出過程は非常に複雑ですが慰謝料がどのくらいの額になるのかを簡単にシュミレーションで算出してみることも可能です。
まずは上記のシュミレーションで計算してみて保険会社から提示された慰謝料が適切かどうかを確認してみて、弁護士に相談する必要があるかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。