髄膜腫はがん保険で保障されるのでしょうか。
「脳ドックに行ったら髄膜腫って言われたんだけど……それって『がん』なの?」
「がん保険に入っているんだけれど、髄膜腫は保障されるの?」
今では簡単に精密な検査ができるようになったので、検診などでいきなり「髄膜腫」と言われてびっくりした方も多いでしょう。
脳の病気といわれると、不安になりますよね。
ここでは、あなたの不安について、以下のポイントに絞って解説していきます。
- 髄膜腫とは
- 髄膜腫は脳腫瘍の一種
- 原発性脳腫瘍とは
- 転移性脳腫瘍とは
- 髄膜腫にがん保険は使えるのか?
では早速説明していきます。
髄膜腫はがん保険で保障される?髄膜腫ってなに?
頭蓋骨の内側には、脳を包んでいる膜があります。
これを髄膜といい、外側から硬膜、くも膜、軟膜という3層になっています。
この部分にできた腫瘍(こぶ)を髄膜腫といいます。
主にくも膜から発生することが多いのですが、そのほとんどは良性(グレードⅠ)の腫瘍です。
脳にできる腫瘍としては最も多く、全脳腫瘍のうち25%前後と言われています。
中年以降の、特に女性に多い病気です。
近年は自覚症状のあらわれない「無症候性髄膜腫」と診断される方も多いです。
このように症状のない場合は、外来で経過観察をすることになります。
まれに、約2%ほどの確率で、悪性へと変化するものがあります。
この腫瘍によって、脳の圧迫や、脳浮腫(むくみ)、てんかんの発作などの症状があらわれた場合には、手術を行うことになります。
髄膜腫はがん保険で保障される?髄膜腫は脳腫瘍の1つ
髄膜腫を含めた、脳にできる腫瘍をまとめて「脳腫瘍」と呼びます。
脳腫瘍は場所や大きさなどが様々なのが特徴です。
脳腫瘍はグレードによって判断し、良性のもの(グレードⅠ)と悪性のもの(グレードⅡ~Ⅳ)に分類されます。
腫瘍の分裂速度が遅いものは良性、早いものは悪性です。
また、周辺組織と境界がはっきりしていれば(湿潤していなければ)良性、はっきりしていなければ(湿潤していれば)悪性と診断されます。
脳腫瘍の原因は主に次の2つに分類されます。
- 脳や脳周辺の組織から発生した「原発性脳腫瘍」
- 他の臓器のがんが脳に転移した「転移性脳腫瘍」
治療法としては、手術か、最近ではガンマナイフやサイバーナイフといった放射線治療が有効です。
髄膜腫はがん保険で保障される?原発性脳腫瘍とは?
原発性脳腫瘍とは、脳本体や、髄膜、髄膜、神経鞘など、脳周辺の細胞から発生した腫瘍です。
髄膜腫もこの1つで、頭蓋骨の外側に発生して徐々に脳を圧迫する病気です。
原発性脳腫瘍は主に良性と悪性に分類されます。
腫瘍のうち、半数以上が良性のグレードⅠで、一般的には手術による除去が可能です。
また、近年では放射線治療が利用されることもあります。
グレードⅡ~Ⅳの脳腫瘍は悪性脳腫瘍、いわゆる「脳のがん」になります。
悪性の原発性脳腫瘍のなかで最も多いのが、神経膠腫(グリオーマ)と呼ばれる、脳本体から生じる悪性腫瘍です。
グリオーマへの対処は、手術と並行して放射線治療と化学療法を行います。
髄膜腫はがん保険で保障される?転移性脳腫瘍とは?
転移性脳腫瘍とは、体のほかの臓器からの「がん」が脳に転移してできた腫瘍(がん)です。
転移先のうち半分以上が肺がんからの転移です。
がん患者の約10パーセントほどが転移性脳腫瘍を発症すると言われています。
転移性脳腫瘍は、いわゆるがんのステージⅣにあたり、かつては転移が見つかると余命は長くないと言われていました。
現在では、X線やガンマ線を病巣に照射する、ガンマナイフやサイバーナイフといった放射線での治療によって少しずつですが、生存率が高くなってきています。
進行状態を正しく知ることによって、近年では様々な治療法が考えられます。
髄膜腫はがん保険で保障される?悪性脳腫瘍のみが保障範囲
脳腫瘍のうち、発生頻度が早く転移、湿潤するものを悪性脳腫瘍といいます。
がん保険では様々な脳腫瘍のうちの「悪性脳腫瘍」のみが保障範囲となります。
以上から、脳腫瘍のうち、がん保険が適応されるのは、
- 原発性脳腫瘍のうちで悪性腫瘍のもの
- 転移性脳腫瘍
の2つになります。
転移性脳腫瘍は、もともと、がんが転移したものですからすべて悪性脳腫瘍となり、がん保険の対象になります。
髄膜症はほとんどが良性の腫瘍ですから、基本的にはがん保険の対象にはなりません。
ただしまれに急速に大きくなるものも存在します。
この「悪性髄膜腫」と診断された場合は、がん保険の対象になる場合があります。
髄膜腫はがん保険で保障される?まとめ
いかがでしたか?
髄膜腫にがん保険を適応するには、良性か悪性かをきちんと確認することが大切です。
幸いにも、髄膜症は良性のものがほとんどで、がん保険は使えませんが、手術で比較的簡単に取り除くことができます。
手術や放射線治療を行うときも、保険が適用される範囲内で、かつ健康保険に入っていれば、一般には8~9万円を超える金額については「高額療養費制度」によって費用が支給されます。(ただし食費や差額ベッド代、先進医療費用などは対象外です。)
それぞれの自治体によって独自の医療費助成制度があることもありますので、お住いの自治体に医療費の助成制度について、訊ねてみるのもいいでしょう。