学資保険の返礼率がプラスになる利用の仕方について紹介をします。
学資保険の返礼率は100%を超えるものが多いため、払込んだ保険料に金額がプラスされて返ってきます。
そこで、多くの親が子供の将来の学資の備えとして学資保険に加入しています。
また、学資保険も生命保険の一種であるため、万一のことがあった場合の保障を付けることもできます。
学資保険で返戻率がプラスになる
現在の学資保険の返礼率は一般的に102~104%になっており、払込んだ保険料の総額にプラスされた額の保険金を受取れます。
現在の銀行の定期預金の金利は0.01%であり、100万円を預けても1年後の利息は100円にしかなりません。それと比べると、104%の返戻率は大きなメリットです。
ただし、昨今のゼロ金利から、保険会社は保険料の運用で利益を取りにくくなっており、返戻率が100%を割るものもあります。
ところで、返戻率というのは、契約者が保険会社に払込んだ保険料の総額に対して、受取れる保険金の比率のことです。
以下の式で表されます。
- 返戻率=「満期保険金+祝い金」÷払込済保険料×100
当然、返戻率が高ければ高いほど、受取れる保険金が多くなります。
学資保険においてプラスになった金額に対する税金の優遇
学資保険では、契約者である親が保険料を支払い、親が受取人となって保険金を受取るため、税制上では親の「一時所得」になります。
従って、親は所得税を納めなければなりません。
ところが、実際にはプラスになった金額分に税金の課されることは滅多にありません。
それは、50万円の特別控除が影響しています。
一時所得における課税対象額は収入を得るためにかかった費用が差引かれるため、以下の式で計算されます。
- 課税対象額=(収入金額-収入に要した支出金額-特別控除50万円)×1/2
例えば、受取った保険金が400万円で、払込んだ保険料が360万円の場合は、(400万円-360万円-50万円)×1/2=-5万円となり、課税対象になりません。
学資保険の特約はプラスになる返戻金に影響する
学資保険には以下のような独特の特約を付帯できます。
保険料の支払い免除
契約者である親が死亡したり、高度障害を患ったりして収入が無くなった場合、学資保険では以降の保険料の支払いが免除されます。
保険金の全額支給
保険料を支払わなくなったとしても、契約で支給されることになっていた祝金や満期金はそのまま予定通り支給されます。
育英年金
育英年金とは学資保険に加入している契約者(親)が死亡したり、高度障害になったりした際に、学資保険が満期になるまで所定の金額が支給されます。
特約は大きなメリットを得られますが、保険料に大きな影響を与えることになります。
学資保険の返戻金がプラスになるとは限らない
学資保険の貯蓄性は優れていますが、保障の特約を付けるとプラスになる返戻金のメリットが失われます。
「保障」と「積立」はあくまでも別のものであり、分けて考えることが必要です。
学資保険は生命保険同様、親や子供に万が一のことがあった際の死亡保険金の支給や、病気やケガの治療費の補償、育英年金の支給など、色々な特約の存在が特徴になっています。
特約を付ければ当然、その分保険料が増額されます。
結果として、返戻率が100%を割るようになります。
つまり、受取る保険金が400万円の時に、払込んだ保険料が410万円になれば、学資の積立という点だけ見るとマイナスということです。
学資保険で返戻金がプラスになるための目的
学資保険は学資の積立と保障という2面性があり、学資保険で返戻率をプラスにする意味を認識した上で加入することが大切です。
特約の必要性
生命保険には一般的な生命保険があり、学資保険の保障と対比して見る必要があります。
医療保障という点では公的な健康保険があります。
特に、育英年金を付帯させると、間違いなく返礼率は100%を割ります。
つまり、学資のための資金が減ります。
将来の経済状態の予測
学資保険は15年後、18年後の保険金を学資に充てることを目的にしています。
当然、将来の景気は予測ができず、仮に返戻率が104%でも、物価が5%上がっていると価値がマイナスになります。
学資保険で返戻金がプラスになるあるべき姿
父親が子供のために学資を準備してあげたい、自分に何かあった時のために保障を付けておきたいと思うのは人情です。
ただ、1つの保険料で学資と保障という2つの利益を得るのは不可能です。
学資を得ることを目的とするなら、保障を目的とする特約は外すべきです。
また、学資の積立においても、返戻率がプラスになるとはいえ、10年以上フィックスする学資保険が良いのか十分に検討すべきです。