医療保険は手術を複数行っても給付金の受給は可能なのでしょうか。
重い病気に罹ると1回の手術だけでは治癒できず、続けて複数の手術を受けなければならないことがあります。
ただ、そんな場合でも、医療保険に加入していると、受けた手術の回数に関係なく手術給付金が支給されるため、心配が要りません。
医療保険で手術を複数したら給付金は?医療保険から複数支給される手術給付金の種類
手術給付金とは、被保険者が病気やケガで手術を受けた時に被保険者に支給されるお金のことです。
入院給付金は入院1日当たりいくらとなっているため、最終的にどれだけの金額が支給されるか分かりませんが、手術給付金は支給内容が予め決まっています。
その手術給付金は2種類に分かれており、
- 手術の種類に関わらず1回一律10万円などと決められている「固定式」
- 手術の種類によって1日当たりの入院給付金に規定の倍率をかけて金額を算出する「倍率式」
があります。
倍率式の場合、例えば入院日額5千円、盲腸の給付倍率が10倍の医療保険に加入していた人が盲腸の手術を受けると、5万円(5千円×10倍)の手術給付金が支給されます。
医療保険で手術を複数したら給付金は?複数の手術に対応する医療保険の倍率式の内容の違い
最近の医療保険の手術給付金は倍率式が多くなっており、手術の種類によって入院日額給付金の5倍・10倍・20倍・40倍などとなっています。
また、手術給付金の支払回数を無制限とする医療保険が一般的です。
なお、同じ倍率式でも、入院日額に対する倍率の適用基準は各医療保険でまちまちです。
例えば、以下のような違いがあります。
- A社:入院を伴わない外来手術は一律5倍、入院を伴うと一律20倍
- B社:外来手術は無支給、入院を伴う手術は一律10倍(保険料が格安)
- C社:入院を伴う手術の種類によって、10倍から40倍までの倍率を設定
- D社:外来手術5倍、高度な手術は40倍、その他の手術は10倍
医療保険で手術を複数したら給付金は?複数の手術に対する制約を設けている医療保険
医療保険では複数の手術に対し、以下のような判断を下されるものが少なくありません。
- 60日間で1回の手術に対する給付を限度とする。
- 同時に2種類以上の手術を合わせて受けた場合、または同一の日に複数の手術を受けた場合は、最も給付倍率の高い1種類の手術を受けたものと見做す。
- 診療報酬点数表において、「手術料が1回のみ算定されるものとして定められている手術(先進医療においては技術料が1回のみ算定されるもの)」を2回以上受けた場合は、最初に手術を受けた日から14日以内で、最も給付倍率の高い1回の手術についてのみ手術給付金を支給する。
医療保険で手術を複数したら給付金は?複数に関係なく医療保険から手術給付金の下りない手術
医療保険で手術給付金の支給対象となるのは「ケガ・病気を治療するための手術」です。
以下のような手術には手術給付金が支給されません。
- 美容整形やレーシック、正常分娩の場合はケガや病気ではないため、保障の対象外です。
- 検査を目的とした手術は治療のためのものでなければ対象外、治療の一環として行うのであれば給付の対象になります。
- 吸引や穿刺などの処置は手術ではありません。
- 神経ブロックなどの注射は手術とは見做されません。
- 歯科での処置は対象外ですが、病気が原因となっている口腔外科の手術は給付対象になります。
- 保障期間外の手術は対象外です。
医療保険で手術を複数したら給付金は?医療保険から複数の手術給付金を受ける手順
手術給付金を請求する一般的な流れは、以下のようになります。
- 契約内容がわかるものを準備し、保険会社に連絡します。
- 保険会社から給付金の請求書類が送られてきます。
- 請求書類に必要事項を記入し、添付書類を同封して保険会社に送ります。
- 保険会社で手術給付金の支給対象に該当するか確認・審査が行われます。
- 審査に通ると、保険会社から手術給付金が振込まれます。
なお、手術給付金の請求に必要となる書類として主に以下のものがあります。
- 各社所定の手術給付金請求書
- 各社所定の診断書
- 事故状況報告書(ケガによる請求の場合)
- 入院状況申告書、領収書の写し(簡易請求時の診断書の代わり)
医療保険で手術を複数したら給付金は?複数の手術にも対応してもらえる医療保険
医療保険の手術給付金は基本的に回数に関わらず、受けた手術に対して何回でも支給されます。
ただし、連続して手術が行われた場合、または異なる手術が同時に行われた場合はいずれか一番給付率の高い手術を受けたとみなされるのが一般的です。
また、中には手術と手術の間の期間を設けている医療保険もあります。
いずれにしても医療保険によって判断の異なることがあるため、事前の確認が必要です。