介護保険と医療保険でリハビリで優先されるのは?日本には公的社会保障制度として様々な制度があります。
そのうち、医療保険と介護保険は多くの日本国民が利用する社会保障制度です。
この制度でリハビリテーションは医療と介護の両方に存在するのですが、その内容や違い、優先順位についてお話します。
介護保険と医療保険でリハビリで優先されるのは?医療保険とは何か
政府が運営する公的医療保険と民間の保険会社が運営する医療保険がありますが、今回は公的医療保険をお話します。
公的医療保険(以下、医療保険)は主にけがや病気などの治療を行うための公的社会制度です。
そのためリハビリが優先されるのはけがを負った際のリハビリや病気になったことによって社会復帰やけがや病気の治療を目的とした場合、リハビリが優先されます。
介護保険の条件である要支援や要介護を受けていない場合でのリハビリという場合でも医療保険が優先されるのです。
加えて、厚生労働省が指定する特定疾患(末期の悪性腫瘍や進行性筋ジストロフィー症など20疾患)の場合は医療保険による訪問看護による訪問リハビリが優先されます。
介護保険と医療保険でリハビリで優先されるのは?介護保険とは何か
介護保険とは、介護を必要とする高齢者の日常の世話(入浴や介助など)や高齢者の自立支援を目的とした医療(訪問介護やリハビリなど)を受けることができるものです。
基本的に介護保険の対象となっている方の場合は介護保険が優先され、疾患や怪我の後、退院して入居する施設や自宅などでリハビリが必要となった場合は、介護保険によってリハビリが行われます。
その時の手段として施設内でのものであればリハビリですが、自宅などへの訪問が必要になる場合は訪問介護の一環としての訪問リハビリという形式で介護保険上は運営されています。
前の項目でお話した20の特定疾患などの例外はあるものの、優先順位は介護保険となるのです。
介護保険と医療保険でリハビリで優先されるのは?医療の場合のリハビリの内容とは
医療保険で行われるリハビリの内容としてはけがや病気の回復や社会復帰となります。
例えば、大腿骨頚部骨折という足の付け根の骨折であれば、手術前後から退院までの期間を医療保険で行います。
介護保険を受けている方であってもけがの治療という目的で医療保険を受けます。
ただし、入院やリハビリの期間は医療保険の制度によって行うことができる期間が制限されているため介護保険と異なりかなり限定的なものとなっています。
また、日常的な機能の獲得も目的となるのですが、それ以上に動く範囲(可動域)の獲得などに重きが置かれる傾向にあります。
介護保険と医療保険でリハビリで優先されるのは?介護保険の場合のリハビリの内容とは
介護保険のリハビリは介護が必要となった方の日常生活の自立が目的となった内容になります。
そのため、前の項目でお話した大腿骨頚部骨折の場合では、介護保険の適応となった方は、退院後自宅や施設などで起き上がりや歩行など日常生活の機能の獲得に重きが置かれます。
しかし、介護度が高い型の場合は、時に介護を受けるのが容易になるためのリハビリ内容になる場合もあります。
例えば、大腿骨頚部骨折の方が動く範囲の広さを広げるのではなく、起き上がりの介助を受けやすいような姿勢を取ることができるようにするという内容のリハビリになるのです。
医療保険より介護保険が保険によるリハビリの優先が基本
医療保険と介護保険、二つの公的社会保障制度ですが、原則併用は禁止されています。
そのため、この場合は医療保険を優先すべきか、介護保険を優先すべきか迷う場面もあります。
そういった場合のとりきめもなされており、基本的に表題の通り介護保険が優先となります。
ただし、介護保険に加入していない小児や青年、40歳以上の方であっても要支援や要介護の認定を受けていない場合は介護保険の加入者ではなく、適応外となりますから、医療保険が優先されます。
なぜ介護保険が優先されるのかというと、介護保険の適応となっている方の多くは回復して社会復帰というよりも、まずは日常生活の機能と回復と自立を目指した介護保険による医療が必要になるからです。
介護保険と医療保険でリハビリで優先されるのは?まとめ
社会復帰やけが、病気の回復を目指した医療保険に対し、日常生活の自立を目指した介護保険では、介護保険の適応の方であれば、介護保険が優先されます。
この流れは公的社会保障制度が続くまで今後も変わらないのではないでしょうか。
この医療保険と介護保険の二本柱により、高齢者にも充実した社会保障がなされる可能性が高まり、国民の福祉の向上に寄与していく制度となって行くはずです。