死亡保険金の受取人に内縁の妻を指定することは場合によっては難しいのを知っていましたか?
最近はLGBTなど夫婦のあり方についての価値観が様変わりし、法律や保険制度が追いついていないケースも目立ちます。
死亡保険もそのひとつです。
被保険者に配偶者がいると保険金の受取人に内縁の妻を指定できません。
その場合は保険金以外の別の財産を遺言書で渡すか、内縁の妻を養子にして受取人に指定する方法があります。
本記事では受取人に関するルールから死亡保険金を内縁の妻に渡す方法まで分かりやすく解説していますので是非ご覧下さい。
死亡保険金の受取人に内縁の妻を指定したいが無視できない受取人の原則
死亡保険の受取人の指定には何かルールがあるのでしょうか?
保険法では受取人を「保険給付を受ける者として生命保険契約または傷害疾病定額保険契約で定める者」としています。
つまり受取人に制限を加えるか否かは保険会社に任せるというのです。
多くの生命保険が採用している受取人に関する原則は以下のものになります。
- 受取人は被保険者の配偶者に加えて、2親等以内の血族に限られる
この原則があるため被保険者の子供の配偶者および被保険者の配偶者の両親は受取人に指定できません。
当然、内縁の妻を指定することも原則に従えば難しいです。
ただし受取人は後から変更可能なため、死亡保険契約後に内縁の妻と結婚して配偶者となった場合は受取人に指定できます。
死亡保険金の受取人に内縁の妻をするのは難しい
死亡保険は原則として配偶者と2親等以内に限定されるのは分かりましたが、内縁の妻を受取人に指定できないのはなぜなのでしょうか?それは生命保険は残された妻子の生活を支えることを目的に作られた保険だからです。
婚姻関係に無い内縁の妻は生活をともにする相手として認められないのです。
相手を経済的に支えたいなら婚姻届を出して籍をを入れ、生計を共にすべきというのが保険会社のスタンスです。
法律も内縁の妻を配偶者とは認めていませんから、法律を盾に保険会社に迫ることも当然できません。
ですから配偶者がいるにもかかわらず、内縁の妻を死亡保険の受取人に指定するのは難しいと考えるべきでしょう。
どうすれば死亡保険金の受取人を内縁の妻に指定できるか?
内縁の妻を受取人に指定できない最大の理由は死亡保険の存在意義にあります。
死亡保険は遺族を経済的に保護することを主な目的にしていますから、まず内縁の妻以外に保護する対象がいることが問題になります。
すでに婚姻関係を結んだ相手がいるなら離婚して関係を解消する必要があります。
また、内縁の妻側にも同じことが言えます。
配偶者がいる場合は、その関係を同様に解消しておかなければなりません。
さらに事実上の婚姻者であると保険会社に認めてもらうには内縁の妻との同居期間が十分に長い必要があります。
具体的な期間は利用する保険会社に確認するのがベストでしょう。
死亡保険金の受取人に内縁の妻にできる条件とは?
基本的に内縁の妻を受取人に指定できませんが、保険会社によっては条件次第で可能になる場合があります。
その条件は各保険会社ごとに微妙に違いがありますが代表的なものは以下になります。
- 被保険人および内縁の妻ともに配偶者がいない
- 2年以上の同居期間があり、実際に生活をともにしている
これらの条件をクリアして内縁の妻を受取人に指定できても保険会社によっては保険金額に上限を設けるところもあります。
これは一向に減らない保険金殺人が原因のひとつにあると言われています。
そのため一緒に暮らすようになって間もない相手を受取人に指定することは難しいです。
死亡保険金の受取人に内縁の妻を指定できない時の対処法
死亡保険であれば決められた金額が間違いなく内縁の妻の手に渡るので遺す側としては是非利用したいのですが戸籍上の配偶者がいるなど状況によっては受取人を内縁の妻に指定するのが難しいケースもあります。
そのような場合には「遺贈」の利用を考えてください。
遺贈とは遺言書を用いて被相続人の財産を特定の人に渡すことです。
法定相続人以外の人でも相続対象に選ぶことができるので、内縁の妻に財産を残すことができます。
遺贈では渡す財産の詳細についても指定できますが、法定相続人の遺留分まで内縁の妻に渡すことは法律的に難しいのが現実です。
内縁の妻に所定の金額が渡るよう遺産総額を把握して、遺留分を侵さない範囲の金額を残すようにしましょう。
遺贈以外には内縁の妻を養子にする方法があります。
養子にしてしまえば問題なく死亡保険の受取人に指定することが可能です。
内縁の妻が賛同するのであれば選択肢のひとつにしたい対処方法です。
死亡保険金の受取人に内縁の妻を確実に指定したいなら養子縁組がおすすめ
死亡保険の受取人は原則的に被保険者の配偶者および2親等以内血族のみでした。
しかし配偶者がいない場合なら同居期間が2年以上なら内縁の妻を受取人に指定できます。
問題になることが多いのは配偶者がいる場合です。
2年の時間が経てば解決する同居期間の問題よりも深刻で解決することは難しいでしょう。
配偶者との交渉無しに内縁の妻を受取人にするには内縁の妻を養子にしてしまうのが確実な解決策です。
税制の面でも優れています。