グリオーマはがん保険で保障されるのでしょうか。
「神経膠腫(グリオーマ)」に罹患した場合に、がん保険は適用されるのでしょうか?
結論から言うと、グリオーマの多くは悪性腫瘍であるためがん保険の保障対象になるといえます。
以後、がん保険における脳腫瘍の扱い、そして神経膠腫(グリオーマ)の概要、がん保険の支払い対象となるのかどうかについてより詳しくみていきます。
グリオーマのがん保険での保障範囲~脳腫瘍の分類~
脳腫瘍には、脳や脳の組織から発生した「原発性脳腫瘍」と別の部位から癌が転移してきて脳に腫瘍ができる「転移性脳腫瘍」という2種類に分類されます。
さらに腫瘍の性質別に「良性」と「悪性」に分類されています。
良性腫瘍とは、腫瘍の増殖スピードが遅く健常組織との差異がはっきりとした腫瘍であることが多く、手術で罹患部位を切除するだけで治癒できる可能性の高い腫瘍を言います。
悪性腫瘍とは、腫瘍の増殖スピードが速く、ほかの部位への転移性や浸潤性の強い、健常組織と識別が難しい腫瘍を指します。
そして、がん保険における保障の要件として悪性腫瘍であることとしている場合がほとんどです。
神経膠腫(グリオーマ)の多くは悪性腫瘍であるため、がん保険の支払い対象となる可能性が高いと考えられます。
グリオーマのがん保険での保障範囲~グリオーマの概要~
神経膠腫(しんけいこうしゅ:グリオーマ)は、脳実質にできる腫瘍で良性腫瘍であることが多い原発性脳腫瘍であっても浸潤性が強い悪性腫瘍であることがほとんどです。
脳実質には、グリア細胞と神経細胞が存在します。
このうち腫瘍となったグリア細胞が「グリオーマ」です。
病気の進行具合によって体の麻痺などを引き起こす深刻な病です。
重ね重ねになりますが、その多くは悪性腫瘍であることから手術だけによる治癒が難しく、手術後の抗がん剤による治療のほか放射線治療などと併用して完治を目指していくことになります。
これらにかかる費用の一部についてがん保険による保障が行われる可能性が高いと考えます。
グリオーマのがん保険での保障範囲~グリオーマの悪性度診断 グレード1~
グリオーマといっても多種多様な種類が存在しています。
そんなグリオーマの悪性度は、世界保健機関WHOによってグレード1からグレード4までの4段階で定義されています。
グレード1のグリオーマは、毛様細胞性星細胞腫に代表されるような手術による罹患部位の摘出によって治癒するようなレベルの状態をいいます。
場合によっては悪性腫瘍がほとんどであるグリオーマでも「良性」と判断される可能性があります。
しかしながら、東京医科大学 脳神経外科ホームページ(http://team.tokyomed.ac.jp/nou/info/bumon01.html)では、
- グレード1は0~2%
- グレード2は2~5%
- グレード3は5~20%
- グレード4は20%以上
を占めることが多いと記されており、脳腫瘍の多くが悪性であることがうかがえます。
ゆえに、グリオーマを罹患した場合には多くの場合、がん保険の適用対象となりうるといえます。
グリオーマのがん保険での保障範囲~グリオーマの悪性度診断 グレード2・3・4~
グレード2
グリオーマの悪性度グレード2は、別名「ローグレードグリオーマ」と言われており、星細胞腫と乏突起神経膠腫に分類されます。
症状としては頭痛や痙攣、軽い麻痺症状などがあげられます。
グレード3
グレード3では、はっきりとした細胞上の病変が見られるようになり、グレード2と同様、手術だけによる治癒は難しい段階となります。
手術後には、放射線療法や抗がん剤治療などが行われることになります。
グレード4
グレード4にいたっては、日を追うごとに急速に進展する高い増殖性や浸潤性が認められるようになります。
痙攣などのほか脳細胞の死滅などによる機能低下から認知症や運動障害など数多くの症状が併発する恐れがあります。
いずれのグレードでも増殖性や浸潤性がある悪性腫瘍であることからがん保険の適用可能性は高いといえます。
グリオーマのがん保険での保障範囲~病理診断~
具体的にがん保険での保障が下りるかどうか重要な指針となるのが病理診断です。
グリオーマでも、腫瘍の発生位置や増殖性などから詳細な診断名を割り出し、悪性度がどのグレードにあるかを診察してもらいましょう。
病理診断確定によって、保険会社から保障金が支払われる可能性が十分に考えられます。
また、病理診断(組織診断)のほか現在では病理診断のほか遺伝子診断ができる病院(ごく一部の大学病院やがんセンター、2018年5月時点において保険適用外)も登場しています。
医療技術の進展によってグリオーマなど脳腫瘍の発見率も向上してきています。
グリオーマでがん保険が適用されるか迷ったら医師の診察や保険会社への確認を!
まとめになりますが、グリオーマの多くは転移性や浸潤性のある悪性腫瘍であり、がん保険適用対象となる可能性が高いと考えられます。
健康な状態から突然、病状の進展が速いグレード4(膠芽腫)に罹患するケースも存在しています。
グリオーマに罹患した場合には早めの診断確定と早期治療、保険会社への相談を行うことが大切です。