がん保険のドル建てというものはあるのでしょうか。
「がんになったときの万が一に備える保障「がん保険」をドル建てでできないか」
グローバル社会を迎え、円建て以外にも海外の通貨への資産運用を行っている人もいることでしょう。
そこで今回は、がん保険においても円だけではなくドル建てのものがないのかについてみていきます。
がん保険のドル建てとは?ドル建ての「がん保険」はなく、あくまで「終身保険」がメイン
残念ながら、調べてみても日本国内で販売されるドル建ての「がん保険」は見つかりませんでした。
米国ドル建て特定疾病保障終身保険特約付などがありますが、あくまで「終身保険」としての保険商品となっています。
特定疾病(たとえば、がんや脳卒中、急性心筋梗塞など)になった場合に保険金が受け取れる補償がついた「終身保険」というわけですね。
生命保険(終身保険)とがん保険がセットになったドル建て保険商品として一応希望にマッチしているという見方もあるでしょう。
それでは、これらドル建てタイプの特定疾病(がんを含む)保障つき終身保険のメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
日本円による一般的な保険商品の場合と比較して、あなたにとってどちらが良いのか考えていきましょう。
がん保険のドル建てとは?ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)のメリット1
予定利率の高さ
ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)のメリットとして、予定利率が高いことがあげられます。
予定利率とは、保険会社が想定する運用利回りのことで金融庁が定める標準利率をベースに設定されています。
この標準利率は、2017年4月から0.25%まで引き下げられており、ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)と比べると利率には雲泥の差があります。
ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)のなかには利率の高いもので3%を超える商品が売り出されることもあります。
運用利率が高ければ保険会社としては儲けが多く、それだけ加入者が支払う保険料額を安くできる余裕が生まれることになります。
日本の保険と同様の補償内容にもかかわらず保険料が安く済むことは大きなメリットといえるでしょう。
がん保険のドル建てとは?ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)のメリット2
為替変動による利益
ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)にて受け取れる保険金の金額は、為替相場に影響されることになります。
保険加入時よりも円安ドル高(ドルの価値が高くなっていく)になれば、その分だけ利益となっていきます。
ドル建ての保険には主に、アメリカドル建てタイプとオーストラリアドルタイプの2種類が存在しています。
世界の基軸通貨であるアメリカドルと比べて、資源大国オートストラリアドルの相場変動はやや不安定な傾向にあり利用する場合には注意が必要です。(大きなリターンには大きなリスクが同様に伴ってくるからです。)
がん保険のドル建てとは?ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)のデメリット1
為替変動による損失
元本保証の安全資産でもない限り、狙うリターンの裏には必ずリスクがつきまといます。
予想に反して、円高ドル安(ドルの価値が安くなっていく)になれば、受け取れる保険金の価値がどんどん目減りしていってしまいます。
そういった為替相場に大きく影響される外貨建て保険は、投資に似た性質をもった商品になります。
うまい話と飛びつかずに、自身に為替相場や金融の専門知識が豊富にあるかどうかを見極め検討しましょう。
リスクを嫌う人、金融投資に不慣れな人、投じるお金が余剰資金ではない場合などには不向きです。
常に為替相場の変動が気になるようになり毎日の生活において精神衛生上よくありません。
がん保険のドル建てとは?ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)のデメリット2
運用コストの高さ
ドル建てに限らず、外貨建て保険商品には加入時に大きな初期費用がかかることがあります。
その初期費用の率は4%程度から高いもので9%にまで及ぶこともあり運用コストの高さは否めません。
このほか、ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)の保険料ではドルで保険料を支払うために毎回、手数料がかかってしまいます。
さらに、上記の初期損失があることなどから途中解約しづらいこともデメリットでしょう。
下手に短期解約としてしまうと元本割れを起こしてしまい大きな損失につながってしまう恐れがあります。
「思っていたのと違った」と加入後に気軽に解約できない点は大きなリスクです。
がん保険のドル建てとは?ドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)への加入は慎重に!
これまで見てきたようにドル建てがん保険(特定疾病付き終身保険)は、投資としての性質が強い商品です。
高い利回りが期待できるとはいえ初期に抱えるコストは大きく、毎日の相場変動は精神的なプレッシャーとなります。
為替相場に詳しい、あくまで余剰資金の分散投資である、リスクや相場変動に耐えられる性格などでない限り、加入(特に加入時期)には慎重な検討をもって臨んだほうがよいでしょう。