がん保険における責任開始日以前のがんへの対応について紹介をします。
がん保険には「責任開始日」という規定があり、がん保険に加入したからといってすぐに保障を得られるわけではありません。
つまり、責任開始日以前にがんを患った場合は、保険金の支給の対象外とされます。
がん保険に加入する場合はこのことを認識しておく必要があります。
がん保険の責任開始日以前のがんの罹患における対応
がん保険は一般的な医療保険と違い、契約日と責任開始日が異なります。
契約日とは、保険の契約の起算日のことを意味します。
契約日の日付は保険会社でまちまちになっていますが、「申込書に署名・捺印した日」、「診査・告知をした日」、「第1回保険料払込日」のいずれかであるのが一般的です。
がん保険における責任開始日は通常、契約日から90日後になっています。
この期間は保障の免責期間となっており、保険会社によって「待ち期間」、「待機期間」、「不填補期間」などと呼ばれています。
免責期間は保障対象外であるため、被保険者(契約者)が責任開始日前にがんと診断された場合は保険金が支払われません。
告知義務違反がなかったとしても関係ありません。
がん保険の責任開始日以前の罹患における不払いの理由
免責期間を設定した目的には、がんではないかと疑いを持った被保険者が治療費を保険金で賄うために、がん保険の「駆け込み契約」をすることへの対策が含まれています。
例えば、責任開始日以降の健康診断で5mm程度の胃がんが見つかったとします。
一般的に、がん細胞が5mmの大きさになるには5年程度が掛かるとされており、当然がん保険への加入時には既にがんを罹患していたことになります。
そうなると、保険会社はみすみす支払わなくても良い保険金を支給せざるを得なくなります。
そんな可能性を少しでも防止するため、保険会社は90日間の免責期間を設けています。
がん保険で契約日以前のがんの罹患が責任開始日直後に発見された場合の対応
がんの発症というのは、以下の状態ことを指します。
契約以前に契約者本人が確認していたかどうかが問われます。
- しこりの存在を認識していた。
- がんの症状が出ていた。
- 体調が悪く、病院に通っていた。
- 検診などで、再検査が必要と診断された。
- 検査で異常が発見された。
保険会社によって告知項目に違いがありますが、通常(3)・(4)・(5)は申告することが義務付けられています。
契約者本人に自覚症状がなく、告知書に対しても隠したり、嘘をついたりしたものでなければ、責任開始日直後にがんが見つかった場合でも、契約前の発症とはされずに保障の対象となります。
例えそれが、医学的に契約前に罹患したものであっても変わりません。
がん保険を乗換える場合は責任開始日以前に解約しないことが肝心
現在加入している保険より条件の良い保険を見つけたことで、契約期間中に乗換えることがあります。
ただし、契約日と責任開始日の違うがん保険では注意が必要です。
がん保険を解約すると、その時点でがんに対する保障が無くなります。
そして、新しく加入したがん保険には免責期間があるため、責任開始日までに90日間の「空白期間」(無保障状態)ができてしまいます。
当然、その期間にがんと診断されると、保険金が下りません。
そこで、空白期間中2つの保険の保険料を支払うことになりますが、リスクを回避するため、新しい保険の責任開始日に達するまで以前の契約を解約しないことが賢明です。
がん保険の責任開始日以前や以後に関わらず保険金の支払われないケース
がん保険の保険金は当然、がんの治療を「直接の目的」とした入院の場合に限り支払われます。
それは、責任開始日とは関係ありません。
例え、がんを患っていたとしても、がん以外の疾病の治療のために入院したものは保障の対象になりません。
また、がん治療の準備の過程で行われる治療のための入院であっても、保険金の支給対象になりません。
例えば、前立腺がんと糖尿病を発症している契約者が、糖尿病のインスリン治療のために入院した場合は目的外の治療であるため、保険金は下りません。
仮に、糖尿病のインスリン治療の入院が前立腺がんの摘出手術のために行われるものであったとしても、間接的な治療のため保障の対象外です。
がん保険は責任開始日以前の保障が無し
がん保険は一般的な医療保険とは違い、90日間の免責期間があり、免責期間を過ぎた責任開始日以後のがんの治療に対して保険金が支払われます。
従って、免責期間中にがんと診断されると保険金を1円も貰えません。
ただ、責任開始日以後にがんと診断された場合は、そのがんが責任開始日以前に罹患したものであっても、保険金の支払いの対象になります。