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生命保険のモラルハザード解説

生命保険 モラルハザード サムネイル

生命保険を含む保険業界が使う用語の一つに『モラルハザード』という言葉があります。

場合によっては『モラルリスク』とも呼ばれることもありますが、両方とも結構誤用されがちな言葉だったりします。

本記事では『モラルハザード』の本来の意味と、それらが起きる原因、加入者と保険会社側両方からのモラルハザード対策としておこなわれる例などを、分かりやすく解説いたします。

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生命保険で生じるモラルハザードその言葉の意味は?

まずは保険業界で使われる『モラルハザード』という言葉について、本来の正しい意味の説明が必要でしょう。

生命保険 モラルハザード その言葉の意味は?

現在テレビや新聞雑誌など正しい意味で言葉を使うべき各メディア媒体でも『倫理観の欠如低下』『道徳の崩壊』という意味あいでモラルハザードという言葉が使われますが、実は冒頭で述べたとおり誤用広まってしまった物なのです。

本来は『立場によって知りうる情報差を正さずに生じる格差や不公平感』と言う意味と、保険業界では使われる『保険に入ったことで危機意識が薄まりかえって事故確率が上がってしまうこと』という二つがモラルハザードの正しい意味でした。

ですので誤用が広がってしまった日本以外では、上の二つどちらかの意味で『モラルハザード(moral hazard)』という言葉が使われます。

またメディアによっては『モラルリスク(moral risk)』と混同して解説される場合もありますが、こちらは『故意の不正で保険金を受け取ろうとする人がいることのリスク』が本来の意味で、モラルハザードとは全く別の意味を持っています。

本記事では『モラルハザード』を本来の意味合いで解説を進めるので、すこし違和感を覚えるかもしれませんがどうかご理解下さいね。

生命保険や自動車保険などのモラルハザード例

誤用の方のモラルハザード『倫理観の欠如・低下』はそれが悪いことであると確信していて『意図的』に行動することをさしますが、正しい意味でのモラルハザードは保険に入っている安心感から『無意識』の内に行動してしまうという決定的な違いがあります。

生命保険 モラルハザード モラルハザード例

具体例を挙げると「生命保険に入っているから安心だ」と自らの健康維持する意識低くなったり、病気治療通院積極性下がってしまうことなどが当てはまります。

「自動車の任意保険と車両保険に入っているから、自分の車が壊れても保険金で直せばいいや」と安全運転の必須条件である危機意識が低下してしまうなども当てはまります。

この様に本来『もしもの時の備え』の為に保険に加入したのに、保険に加入したことがかえってその『もしもの時(病気や事故)』のリスク(危険性)が高まってしまうことを『モラルハザード』と呼ぶのです。

生命保険のモラルハザードを防ぐには加入者側の努力も必要

もしもの時の備えや安心を得るために生命保険に加入したのに、それが原因で病気のリスクが高まってしまっては本末転倒です。

ですので加入者側も生命保険に加入したからと言って健康維持の意識を低下しないよう気をつけねばなりません。

とはいえ、加入者側も大半は無意識で行動してしまうものなので完全に防ぐことはできず、保険会社側モラルハザードについて対策をする必要が生まれてきます。

生命保険 モラルハザード 加入者側の努力も必要

その対策とは『保険の加入にあたって加入者側にとって目に見えるあるいは分かりやすいリスクをあえて提示する』というものです。

保険加入の安心感からリスクを見失いがちになるのであれば、あえて別の形でリスク提示すれば無意識でも一定危機管理意識維持できるからです。

生命保険会社側のモラルハザード対策例

たとえば自動車保険なら『無事故の証であるゴールド免許なら保険料の割引』『保険を使用しなければ等級が上がって保険料の割引』など優良運転者ほど優遇されるような仕組みになっており「保険に加入するにしても事故起こさない方がお得ですよ」と『事故を起こすと金銭的なリスクが生じる』と意識させるようになっています。

生命保険 モラルハザード 対策例

生命保険などなら『保険加入前に問診や健康診断を行い、健康な人ほど保険料割引』など、病気に対する危機意識が高く実際に健康な人ほど保険料などが優遇されるようになっています。

『日常的な運動の有無』『喫煙の有無』『飲酒の頻度』『特定疾患の有無』などのチェックをすることも、保険会社側は『保険料が高くなる』などの明確リスク加入者側意識させモラルハザード防ぐ対策としておこなっているのです。

生命保険に加入する場合、加入者側がモラルハザードを抑えるにはどうすればいいか?

積立型の生命保険の場合、指定された病気にならず保険を使用せずに満期を迎えると積立金が戻ってくるタイプのものがあります。

こういった保険は通常の物より保険料が高めですので加入者側も「高い保険料を払っているのだから病気になって積立金が戻ってこなかったらもったいない。

健康を維持するのはもちろん、病気の疑いがあったらすぐ診察してもらって軽い内に治して保険を使わず、満期でお金が戻ってくるようにしよう!」という気持ちになりますよね?掛け捨て型の生命保険でも、満期あるいは一定期間指定の病気にかからず保険を使わなかった場合『お祝い金』と称して、掛け金の一部が戻ってくるタイプのものがあります。

それらの保険も同様の効果があるので、保険会社側はもちろん、加入者側も意識的・無意識的にもモラルハザードが抑えられ、加入者側健康維持モチベーション維持できるというメリットもあります。

生命保険 モラルハザード 抑えるにはどうすればいいか?

『保険加入に慢心せず注意意識を強く持った加入者の方が事故や病気にあいにくい』という統計結果も出ているので、生命保険に入ることに併せて健康を維持できるよう心がけることが大切なのです。

生命保険のモラルリスクの解説&誤用の方のモラルハザード例

モラルリスクは冒頭に述べたとおり、保険金詐欺などで不当に保険金を引き出そうとされる『保険会社側のリスク』をさします。

当たり屋など、自ら交通事故に巻き込まれたり、怪我がないのに怪我があると申告して保険会社からお金をだまし取ろうとする人はいつの時代もいるものです。

生命保険 モラルハザード 解説

ときにはそれらを取り締まる警察官が、医師やリハビリをおこなう接骨院や柔道整復師などと共謀し、保険金だまし取ったという事例も少ないながら存在します。

最近では『警察官が接骨院の院長と共謀し保険会社などから保険金をだまし取った』という事例がありました。

警察官は本来一般市民より高いモラルが必要とされるのですが警察官がこれらの事件を起こした場合、保険金を不正搾取するという『モラルリスク』例にあてはまるのはもちろん、誤用の方の『モラルハザード(倫理観の欠如)』のもっともたるものと言えるでしょう。

我々一般市民は「警察官すらやっているんだから自分たちも少しくらい…」とは思わず、『他人の振り見て我が振り直せ』の精神で、日本人として海外に胸を張れるような高いモラルを維持したいものですね。