介護保険と医療保険の優先順位はどちらなのでしょうか。
介護保険と医療保険は、両方共に公的な保険制度でありながら優先順位が定められています。
一見すると同じ訪問介護サービスに見えても、利用目的によりどちらが優先されるのか決められていますが、なぜ併用が出来ないのでしょうか。
介護保険と医療保険 優先順位|介護保険と医療保険では優先順位がある
介護保険と医療保険には、本来の制度目的による違いから優先順位が決められています。
一般的に介護保険の適用が出来る場合には介護保険が優先順位上位となり、医療保険は併用出来ません。
なぜなら、介護保険には第1号被保険者と第2号被保険者という2種類の違いと共に年齢制限があるので、適用可能な条件が厳しい代わりに本人の自己負担額が3割から1割または2割へと軽減されているからです。
実際にサービスを受ける被保険者の側にとって有利な条件を優先して適用出来るようになっています。
このため、介護保険が適用出来るにも関わらず医療保険を適用するためには、特定の条件が求められます。
介護保険と医療保険 優先順位|介護保険を優先順位上位とする場合は医療保険が適用出来ない
介護保険を優先順位上位とする場合は、医療保険を適用出来ないので毎月適用可能な上限額の範囲内で利用する必要があります。
介護保険は40歳以上の公的健康保険加入者が介護保険料を負担していて、65歳以上の第1号被保険者に対して優先的に要介護認定を行った上で適用しています。
40歳以上65歳未満の第2号被保険者については、要介護認定と共に決められた特定疾病によって要介護認定または要支援認定を受けたときのみ介護サービスを受けられるわけです。
医療保険には利用額上限はありませんが、介護保険には要介護度に応じた利用上限があるので、超えた分は全額自己負担となります。
介護保険と医療保険 優先順位|医療保険を介護保険より優先順位上位とする場合は治療目的の証明が必要
医療保険を介護保険より優先順位上位とする場合は、あくまでも治療目的であることの証明が必要になります。
具体的には厚生労働省が定めた特定の疾病や難病により訪問介護サービスを受ける必要がある場合であって、訪問看護指示書の提出があった場合には医療保険が優先順位上位となります。
末期がんといった難治性の病気が原因で要介護に至った場合には、あくまでも治療目的で行われるからこそ自己負担割合は3割と多いものの利用額が無制限となるので、高額療養費制度を申請して利用すれば場合により介護保険利用よりも低額で済むわけです。
訪問看護指示書の提示を行った場合と、最初からリハビリ目的で利用する場合には医療保険が優先されます。
介護保険と医療保険 優先順位|優先順位が決められていて例外を除き併用出来ない
介護保険と医療保険には、優先順位が決められているので例外を除いて併用出来ないことになっています。
例外的に併用出来る場合は、同じ病気が原因であっても利用する月が異なる場合や、別の病名が原因で介護保険と医療保険を同じ月に利用する場合です。
また、末期がんのような難病の場合には、介護保険による訪問介護を受けつつ医療保険の適用が認められています。
あくまでも利用する被保険者にとって有利でありつつ、過剰サービスにならないように利用目的により優先順位が決められているので、難病については例外規定として併用が認められることがあるわけです。
介護保険と医療保険 優先順位|介護保険と医療保険の優先順位を無視して併用できるケースとは
介護保険と医療保険の優先順位を無視して併用が出来るケースは、難病により完治できないにも関わらず介護サービスを利用する時です。
最も分かりやすい例として、末期がんが挙げられますが、治療を行っても完治が難しい状況でありながら命を繋ぐためには治療だけでなく介護サービスを受ける必要がある場合となります。
要介護認定を受けて介護サービスを受けつつ、延命治療を行うために医療保険の適用を行わなければならないことは、最後までしっかり尊厳を保ったまま生活する権利を尊重するためのものです。
介護保険と医療保険の優先順位は、あくまでも同じサービスを過剰に受けて保険財政を圧迫しないために過ぎません。
介護保険と医療保険 優先順位|医療保険より介護保険が一般的には優先順位として上になる
医療保険よりも介護保険が一般的には優先順位上位として認められるので、要介護認定を受けた場合には介護保険が優先されます。
治療目的で介護サービスを利用する場合には、医療保険が優先されることになり、実際に介護保険適用時の自己負担は高所得者以外は介護保険適用時の方が1割から2割と低いです。
介護保険と医療保険は、そもそもの設立目的が異なるので優先順位が定められています。