天涯孤独の人で生命保険の受取人はどうする?という問題が起こっています。
近年未婚の方の増加や少子化により一人っ子であったり、親戚付き合いの希薄化から意図しないうちに天涯孤独の身になっている方が増えてきています。
それでも将来への備えや様々な理由により生命保険に加入している方が存在しているのです。
天涯孤独となった場合生命保険の受取人となるはずの配偶者や子ども、あるいは兄弟がいない状態となっている場合この大きなお金はどこへ行ってしまうのでしょうか。
今回そのお金の行方についてお話ししつつ、特別縁故者と呼ばれる生命保険の受取人となり得る存在についてもお話しし、天涯孤独の方の生命保険の受取人の真相に迫ってみます。
天涯孤独の場合の生命保険の受取人はどうなるのか
基本的に生命保険の死亡保険金の受取人は家族です。
詳細は後述しますが、それ以外の存在の受取人の設定は難しい場合も少なくありません。
これは生命保険の死亡保険金を犯罪行為によって詐取することを極力防ぐための保険会社の防衛手段によるところがあります。
現在保険会社は死亡保険金の受取人の取り扱いを緩和しつつも支払いに対してかなり厳格なルールや基準を設けており、昔のサスペンスドラマのような保険金殺人事件等のような犯罪が関わる可能性のあるものを極力排除しています。
そのため受取人が家族以外にできるというルールは設けているものの非常に厳しい条件が付けられていなり、審査を慎重に行っているのです。
そのため、受取人がいないことも少なくないため、亡くなった際に保険会社から法律の決まりによってそのまま死亡保険金が国庫(国の収入)となってしまうということもあります。
天涯孤独でない場合の生命保険の受取人の基本ルールとそのルールに該当しない場合
基本的には無条件で受取人に指定できるのは2親等までの身内です。
具体的な例を挙げると一親等の配偶者、両親、子ども、二親等の祖父母、兄弟姉妹、そして孫です。
甥や姪、あるいはおじおばを受取人にする場合は保険会社の同意が必要であるのと、同棲している異性、いわゆる内縁の夫婦の場合は更に受取人としての認定が厳しくなります。
このような現状ではありますが、ここ数年婚姻届けが受理されない同性のパートナーを受取人へ指定できるという流れも出てきており、緩和される傾向があります。
しかしそれらの存在がいない場合は主に三つの受け取り人を認めることがあります。
自身とかかわりのある法人(会社などの金庫に入る)、国庫(国の財産となる)、そして特別縁故者です。
この特別縁故者について次の項目でお話しします。
天涯孤独の場合の生命保険の受取人の特別縁故者とは
特別縁故者とは生命保険加入者の死亡時に受取人の条件に合う肉親が誰もいない場合、生前ある程度の関係があった人が特別縁故者として認められる制度です。
これは遺産相続から派生した制度で相続の立場で遺産を受け取る人がいない場合に特別に相続を受ける権利がある人のことを言います。
これは生命保険だけではなく遺産全てを受け取る権利を手に入れることになるため、手続きが必要となります。
さらに条件もいります。
その条件は内縁の夫婦のように同じ生計で生活していた人、生前療養や看護をしていた人、最後がその二つや相続に相当するだけの縁故関係にあった人です。
条件を満たし家庭裁判所へ申し立てを行って手続きを取ることで特別縁故者となれるのです。
天涯孤独の場合の生命保険の受取人のメリット
法人や国が受取人となった場合は非常にメリットがあります。
法人の場合は死亡保険金によってその法人の運転資金としての利用もできますし、金額によっては設備投資にも当てられます。
受取人が存在せず国庫に入った場合も同様で、国民のサービスや国の運営の資金となるからです。
また、特別縁故者に認定されていれば今までの療養看護の苦労も金銭によってある程度報われます。
このように何の苦労もせずに組織や国家の運営のための資金が入ってくるというメリットや療養看護の大変な労力がいくらか購われるなどのメリットがあるのです。
ではそれ以外の受取人となった人の場合や受け取った場合のデメリットは何なのかについても次で触れていきます。
天涯孤独の場合の生命保険の受取人のデメリット
天涯孤独の場合の生命保険の受取人のデメリットは受取人の条件となる特別縁故人になるため相続の場面で対立が起こる可能性があるということです。
特別縁故人として認められるか否かで揉める可能性もあります。
特別縁故人の第三の条件である「相続に相当するだけの縁故関係にあった人」の存在です。
遺言ではなく口約束でも条件に当てはまる場合があるため、療養看護を一生懸命行っていた人と口約束で受取人の指名をされた人の間で死亡保険金の受取人の地位の奪い合いが起こる可能性があります。
また、受取人となった後もしばらく争いが続く場合があり、明確な受取人の指名がなかった場合非常に厄介なことになる危険性を持っているのがデメリットです。
天涯孤独で生命保険に入った方の受取人という存在
生命保険に入っている天涯孤独の方の受取人は一見存在しないという印象がありますが、法人を受取人にしていれば法人が、いなければ国が受け取るほか、特別縁故人という個人と非常に縁故関係の深かった方が認定されて受取人となります。
受取人が組織やキチンと生前のうちに決められていれば良いのですが、そうでない場合は争いの元になるため、天涯孤独な方は生前から受取人となる存在をしっかり指定しておくことが重要です。