医療保険と介護保険が併用できる厚生労働省指定の疾患とはどのような病気でしょうか。
厚生労働省指定の疾患の場合、医療保険と介護保険の併用ができることをご存知でしょうか。
原則、医療保険と介護保険は併用することができません。
例外的に、厚生労働省指定の疾患の場合、医療保険と介護保険を併用することができるのです。
厚生労働省が定める社会保障制度の代表である、医療保険と介護保険。
それぞれが、適用できる範囲を理解しておくことは、大切です。
なぜ、医療保険と介護保険は併用できないのでしょうか。
なぜなら、医療保険と介護保険、各々の目的が異なっているからです。
医療保険は、医療サービスの利用を目的としています。
介護保険は、介護サービスの利用を目的としているのです。
医療保険と介護保険の併用について説明します。
併せて、医療保険と介護保険の基本についても解説しましょう。
医療保険と介護保険の併用 厚生労働省|厚生労働省指定の疾患の場合医療・介護保険の併用ができる
基本的には、医療保険と介護保険を併用することはできません。
しかし、厚生労働省指定の疾患の場合、医療保険と介護保険を併用することができるのです。
厚生労働省指定の疾患の1つである、末期がん(末期の悪性腫瘍)の方を例にして解説しましょう。
末期がんの方の場合、医療と介護の両面からサポートを受ける必要があります。
介護保険を利用したハビリや訪問看護を受けながら、医師の指導に基づいた治療や看護も受けることができるのです。
厚生労働省指定の疾患の方に対しては、医療保険と介護保険を併用することで、病気の治療や回復、日常生活の機能維持をサポートしていきます。
医療保険と介護保険の併用 厚生労働省|厚生労働省指定の疾患を紹介
医療保険と介護保険の併用が認められる、厚生労働省指定の疾患には、どのようなものがあるのでしょうか。
厚生労働省指定の疾患は、20種類あります。
- 末期の悪性腫瘍
- 重症筋無力症
- 多発性硬化症
- 筋萎縮性側索硬化症
- ハンチントン病
- スモン
- 進行性筋ジストロフィー症
- 脊髄小脳変性症
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- 副腎白質ジストロフィー
- 後天性免疫不全症候群
- 脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- ライソーゾーム病
- 球脊髄性筋萎縮症
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病)※パーキンソン病はホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上で、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る
- 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ矯小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
厚生労働省指定の疾患になりますので、参考にして下さい。
医療保険と介護保険の併用 厚生労働省|厚生労働省管轄の医療保険と介護保険の特徴 原則併用できない
医療保険と介護保険の基本的な特徴について確認しておきましょう。
医療保険
医療保険とは、加入者やその家族が、病気やケガ等の医療を受ける必要が生じた時、公的機関が医療費の一部を負担してくれる制度のこと。
日本は国民皆保険制度を採用しているため、誰もが何らかの医療保険に加入しています。
医療保険には、会社員などが加入する健康保険、自営業者などが加入する国民健康保険があります。
介護保険
介護保険とは、介護が必要と認定された方が、費用の一部を負担することで、介護サービスを利用できる制度のこと。
高齢化社会に対応するため、平成12年4月に施行された社会保障制度です。
40歳以上の方全員が、介護保険の加入者となり、保険料を負担します。
但し、介護保険のサービスを利用できるのは、原則として65歳以上からです。
40歳から64歳までの方は、条件によって、介護保険の利用が認められています。
医療保険と介護保険の併用 厚生労働省|厚生労働省管轄の医療保険と介護保険の相違点
医療保険と介護保険の主な違いを、4点紹介します。
保険利用の対象者に違いがある点
医療保険の場合、加入者の年齢を限定していません。
医療保険加入の証明となる保険証があれば、0歳からでも対象となるのです。
介護保険の場合、40歳以上全ての方が、保険加入者として保険料を負担します。
従って、40歳未満の方は、対象者となることができません。
介護保険を利用できるのは、認定を受けた65歳以上の方が対象となります。
40歳~64歳までの方は、一部例外を除いて、介護保険を利用することができません。
認定の有無について違いがある点
医療保険は、誰でも利用ができるため、認定を受ける必要がありません。
介護保険の場合、対象者であっても、認定を受けなければなりません。
介護保険が定める要介護・要支援の認定を受けた方が、介護保険を利用することができます。
65歳以上の方でも、認定を受けていなければ、介護サービスを受けられないのです。
40歳~64歳までの方は、介護保険が認める条件を満たせば、介護サービスを受けることができます。
自己負担額の割合に違いがある点
医療保険の自己負担額の割合は、小学生から70歳未満の場合、3割となっています。
70歳以上の方は、年齢や収入によって、1割~3割負担となっています。
介護保険の場合は、原則1割負担ですが、収入の条件によっては2割となっています。
保険利用額の上限に違いがある点
医療保険の場合、1か月あたりの上限額は決まっていません。
介護保険の場合、要介護・要支援の状態により、1か月の上限額が決まっています。
上限額を超えた場合、全額自己負担となります。
医療保険と介護保険の併用 厚生労働省|厚生労働省指定の疾患以外で医療保険と介護保険が併用できるケースを紹介
厚生労働省指定の疾患以外で、医療保険と介護保険を併用できるケースを2点紹介しましょう。
異なる診断名で保険サービスを受けるケース
同じ診断名の場合、医療保険と介護保険の併用はできません。
しかし、異なる診断名で、看護やリハビリテーションを利用する場合、併用が認められるケースがあります。
医療保険と介護保険を利用する時期が異なるケース
同じ診断名であっても、月が異なれば、医療保険と介護保険の併用ができる場合があります。
例えば、医療保険を利用した訪問看護が10月で終了した後に、翌11月からは介護保険を利用した訪問看護を受けることができるのです。
同月に、医療保険と看護保険の併用はできませんが、月を変えることで認められるケースがあるのです。
医療保険と介護保険の併用 厚生労働省|併用できるケースのまとめ
厚生労働省指定の疾患の場合、医療保険と介護保険の併用ができることを紹介しました。
但し、原則として、医療保険と介護保険を併用することはできません。
また、介護認定を受けた方は、医療保険ではなく介護保険を優先して利用しなければなりません。
医療保険と介護保険を併用できるケースを、まとめておきましょう。
- 厚生労働省が指定する疾患の場合。
- 異なる診断名で保険サービスを受ける場合
- 同じ診断名であっても医療保険と介護保険の利用時期が異なる場合
医療保険と介護保険の適用範囲を理解しておくことは大切です。
医療保険と介護保険の仕組みを理解し、適切なサービスを利用するようにしましょう。