生命保険へ加入していても払い渋りが発生すると、いざという時に受け取りを拒否されてしまいます。
生命保険会社へ不信感を抱く人が多いことは、かつて保険会社による払い渋りが国会でも質問に上がったことがあるほどです。
では、どのような払い渋りが行われているのでしょうか。
生命保険会社は払い渋りにより利益を拡大している
生命保険会社は、保険金支払いをそのまま利益の損失と考えるので、払い渋りにより利益を拡大させる方向で調査部が動いています。
約款通りに支払うだけで済むものであっても、何とかして保険金支払いを拒否出来ないかと考えて顧客からの請求に対して調査を行う体制が問題です。
2005年に明治安田生命により生命保険金未払いが問題になったことで、生命保険各社の払い渋りが世の中に露呈することになりましたが、以後も安い保険料で多くの保険金支払いが可能な点を訴求ポイントとして加入者を募る傾向に変わりありません。
このため、生命保険各社は、今なお払い渋りにより利益を拡大していると考えて良いです。
生命保険会社の払い渋りを行う事例
払い渋りを行う生命保険会社の調査部は、保険金請求があった時に条件に適合しているかどうかの調査ではなく、いかにして払い渋りを行えるかをポイントに約款の解釈を行います。
例えば、悪性新生物による入院給付金を請求した場合に、悪性リンパ腫の場合には入院給付金と手術給付金の積み増しが発生する条件で契約していたので、実際に悪性リンパ腫と判明してから積み増し分を請求して拒否された事例があります。
入院時に悪性リンパ腫とは確定した診断を受けていなかったことを理由としていますが、病理検査は摘出後に行われて確定するものですから、後から悪性リンパ腫と判別する以外に方法がありません。
生命保険の払い渋りは約款の理解不足が原因
生命保険の払い渋りは、加入者による約款の理解不足が原因となることが少なくありません。
実際には請求可能な入院給付金や手術給付金であっても、約款の理解が不十分なために基本的な入院給付金しか請求していない場合が該当します。
後から請求に気が付かなかった手術給付金について請求しても、払い渋りにより生命保険会社から支払い拒否されてしまうことがあるわけです。
1度の入院について請求できる回数が1回限りと約款に記載されていると、正しく過不足ない請求をしない限り自ら生命保険会社による払い渋りを正当化しかねない事態となり得ます。
生命保険の払い渋りと感じたら公的機関に相談してみよう
生命保険会社に払い渋りと思われる保険金支払い拒否をされた場合には、約款をじっくり読み込んで再度問い合わせを行うことが大切です。
それでも生命保険会社が対応を変えなかった場合には、生命保険会社の払い渋りを疑って公的機関へ第三者の意見を聞きたいと相談してみると良いでしょう。
なぜなら、過去に生命保険会社による払い渋りが発生したことが既に知れ渡っているので、約款と請求内容を吟味した上で払い渋りを確認出来ると、問い合わせと指導を行ってもらえるからです。
個人の問い合わせでは拒否していても、約款を読み慣れている公的機関経由での問い合わせには生命保険会社が素直に回答する傾向があります。
生命保険の払い渋りには請求漏れが含まれる
生命保険の払い渋りには、理由をつけて支払いを拒否するだけでなく、実際に請求を行った時に本当は特約により別の請求も出来る点を教えてくれないことによる請求漏れもあります。
生命保険の契約内容は、厳密に行われるので約款を隈無く知り尽くしている生命保険会社とは異なり、個人では請求できる範囲について気が付かないことが少なくありません。
しかし、生命保険会社にとっては保険金支払い自体がマイナス要因となるので、請求漏れに関しては注意喚起をしてくれない会社が珍しくないわけです。
そこで、請求漏れが発生しないためにも、請求を行う前には約款を隈無く読み直すことが求められます。
生命保険は加入しても払い渋りに注意する
生命保険は、加入時の約款だけでなく定期的に送られて来る約款改定に注意して払い渋り対策を行うことが大切です。
生命保険は加入すれば安心というわけではなく、あくまでも厳密な契約内容に基づきいざという時に保険金請求権を有するという契約に過ぎません。
生命保険金の請求は、約款に基づき過不足なく請求を自ら行う必要があるので、約款については詳しく確認して分からない部分は事前に質問しておくことが大切です。