生命保険は不要だ貯蓄した方がまし、と言った意見を最近よく目にしますが、公的医療保険制度で医療費の上限は抑えられており、300万ほどの貯蓄があれば十分対処できるものであるというものですが、実際のところどうなのでしょうか。
生命保険が不要で貯金に回すべきではない理由
日本の医療制度が手厚く充実しているからと言っても、それは永遠に続くものではありません。
日本は高齢化社会から超高齢化社会への移行期にあり、医療費の増加は避けられず、今後に自己負担額が増加するということは大いにあり得る話なのです。
年を重ねるにつれて人は病気をしやすくなりますが、年を取ってから、あるいは大きな病気をしてから保険の重要性に気づいて生命保険に入ろうとしても条件で引っかかり加入できないという事態も起こり得ます。
若いうちから将来に備え、一見高額で負担感の強い生命保険ですが加入することのメリットは大きいのです。
生命保険は不要で貯金に回すべきである理由
生命保険は死亡保障がついた保険であり、自分が亡くなった後に金銭的に生活が立ちいかなくなる家族が存在しない場合には、基本的に生命保険に加入する必要性は全くありません。
高額療養費制度という保険証を持っていれば誰でも受けることができる公的保証がありますから、貯金が全くないという状態でなければほとんどのケースで対応が可能なはずです。
また、医療技術の進歩によって以前ならば数か月の入院が必要っであった病気に対して、現在では数週間、病気によっては数日にまで入院期間の短縮が実現されており、貯金で十分に賄えるのです。
生命保険は不要で貯金に回すべきなら加入のメリットはないのか
遺族の生活保障の必要がなく、生命保険に入る必要はないと判断した人でも、生命保険加入によるメリットを受けられるケースは存在します。
終身保険は貯蓄性があり長期的にお金をためていくことができますから、年金だけでは厳しい状況が予想される今日、老後の資金の確保のために生命保険を利用することができるのです。
また、生命保険の保険金は相続人が受け取る場合非課税枠がありますから、相続税の節税に生命保険を利用することができます。
そして、生命保険は受取人を限定出来ますから、遺族間で遺産相続でもめることなく受け取ってほしい人に請け負ってもらうようにできるのです。
生命保険は不要で貯金に回すべきだとしても未加入のリスクは
扶養家族がいる場合には生命保険加入は不可欠となるはずです。
残された配偶者や子供の生活に多大な影響が及ぶことになりますから、貯金が十分と考えている人の場合でも子供の教育費は何かと多めにかかるものと相場が決まっていますから、経済的な理由で進学を断念するなどという事態を避けるためにも、まとまったお金が支払われる生命保険は必要です。
また、生命保険に加入していると税制上のメリットを享受することができるのですが、生命保険に未加入であれば、所得税や相続税の控除による節税効果の恩恵を受けることができなくなってしまいます。
生命保険は不要で貯金に回すべきという主張は多数派ではない
そもそも、なぜ生命保険に加入したのかという問いの答えの多数派を占めるのが、みんな入っているし自分も将来に備えておかないと不安だからという心理的要素がかなり大きく、自分の入っている生命保険のプランの詳細までは把握していないという方が7割以上になります。
20代から60代全体では80%の人々が生命保険に加入しているという現状で、これだけ多くの人が加入しているといいうことは、生命保険加入によるメリットや安心感は疑う余地がありません。
なんとなく加入している人が多い中、独身で生涯を終える人や晩婚化の影響によって、一部の生命保険に入る必要がない人に焦点を合わせた切り口の主張が保険不要論なのです。
生命保険は不要で貯金に回すべきと断定すべきではない
生命保険の必要性は普遍的に決定されるものではなく、それぞれの生命保険の役割や自分の置かれている状況から慎重に判断されるべきものです。
生命保険は万が一の事態が起きてしまった時の遺族への生活保障や、将来的に必ず必用となる費用の準備、あるいは相続税対策として様々なリスクに備えることができるものですから、多くの人にとって必要になる状況が起こり得るものなのです。